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アメリカでイラン人夫と生活


by japonikk-la

ベール

ベール_e0041248_14394463.jpg義母が小さい頃、ある夜ドアを叩く音がし、父親が時間帯からして、一体なに事かと何やら不吉な予感がして、恐れ恐れ出ていくと、明日から女性の外でのベールの着用禁止という軍部からの通達があったというのを憶えているそうです。(注:1934年にイランでは最後の王の父親のレザー・シャーによってこれが強要されました。)

しかし、それまでイランでは、イスラム教徒の女性達は、ベールを着けるのが当たり前だった為、いざ止めろと強制的に急に言われても、すぐに何も着けずに人前に出るには抵抗があったようです。だから、この規則に慣れるまでには、女性達にはあまり嬉しいものでは無かったみたいです。
そういう訳で、義母の父親は早速翌日、妻の為にコートを買いに出かけたそうです。

以前、レザー・シャーの奥さんとその娘が初めてベール無しで公に姿を現した時の写真を見た事があるんですが、きっと最初はかなりの勇気が要ただろうなあと想像しました。

そして、イランではよほど信心深い人以外(注:その後、息子のモハメッドレザー・シャー(最後の王)の時代ではこの規制も緩和されたので)は、欧米と何ら変わらない服装が普通だったのが、今度は、50年近く前とは逆のベールの着用が強制される時代が訪れ、これを受け入れる事が如何に苦痛で侮辱的なことだったかが伝わってきます。

時の為政者の都合で、コロコロと変わる法律に翻弄されるイラン人女性を想う時、こちらまでやりきれない気持ちで一杯です。

ベールを着ける事が即女性を虐げているとは、もちろん思わないけれども、選択の自由を奪われる事程、女性の人権を無視したものはないと思います。

イスラム教徒とはいえ、コーランにはベールを着けなければいけないとは記されていないと聞きます。女性がどんな服装をするかは、各自の選択であって、法律によって縛られなくてはならないと考える時、嘆かわしさと同時に強い怒りが込み上げてきてしょうがないです。
by japonikk-la | 2007-10-20 09:33 | イラン関連